主婦として、フリーとして。自分の「好き」を育てて生きるために、最初に踏み出す一歩とは?

主婦業をされつつ、フリーのテーブルコーディネーターとしてご活躍されている菅野有希子(すがの・ゆきこ)さん。心ときめくおしゃれなテーブルコーディネートをはじめ、ライフスタイル全般のスタイリングやコラム執筆、さらには自身の主宰するウェブマガジン「TABLE MANIA」の運営も手がけています。そんな菅野さんですが、意外にも現在の仕事にたどり着くまで様々な悩みに直面してきたそうです。

21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブSHElikesでのご登壇に先立ち、この仕事に出会ったきっかけや、好きなことを続けた先に待っている幸せについてを語っていただきました。

1.撮影からメディア運営、力仕事まで?憧れのテーブルコーディネーターの日常

-テーブルコーディネーターとしてご活躍されていますが、お仕事内容はどのようなものですか?

撮影のスタイリングの仕事がメインですが、ライターとしてコラムを書いたり、並行して自身が運営する「TABLE MANIA」というメディア運営もしています。
企業からの撮影依頼の場合は朝8時にスタジオに入ってスタイリング、夕方終わるまで立ちっぱなしなんていうことも。打ち合わせを含め1〜2週間で準備をして、撮影当日に、揃えておいたお皿や食材などをトラックに詰めて搬入します。スタジオに着いたら荷解きとセッティングをして、撮影の準備を整えます。物が多くて力仕事なので、運ぶだけでも筋肉痛になったりします。もともとそこまで体力がある方ではなかったのですが、この仕事を始めてからかなり体力がついていました(笑)。

ーなるほど、撮影のスタイリングのお仕事はハードなんですね。一方、ご自身のメディア「TABLE MANIA」ではどのようなことをされているのですか?

自分のメディア「TABLE MANIA」は「まだ未経験なことを練習する場所」という意味合いをこめて運営しています。
いずれ案件として依頼があるかもしれないので、やってみたい撮影を試したり新しいテイストのスタイリングにチャレンジしてみたり……そんな場所として使っています。
実際にそのコンテンツを見た方から声をかけてもらうこともあるので、常に発信することを大事にしています。

「メジャーを使ってテーブル周りの用品を測る菅野さん」

2.変化に富んだ毎日で感じる“みんなで作り上げる喜び”

ー今のお仕事をされていて、幸せだと思う瞬間や、フリーになって良かったと感じた際のお話をお聞かせください。

企業のクライアント様からお仕事を頂き、それを達成していくことに幸せを感じています。クライアントの方に「こういう風にやってみましょう!」と提案をして、撮影当日スタジオに並べる。その瞬間に「おぉー」とクライアントの皆さんから歓声が上がって、私も「おぉー!」とテンションが上がる(笑)。その場で反応がわかることに、すごくやりがいを感じますね。
特にスタジオでの撮影は“共同作業感”があります。カメラマンの方やクライアントの方とああしようこうしようって言いながら作っていって、いざ良いものができるとみんなでワッと盛り上がる。仕事でありながら、なんだか学園祭のようなんです。みんなで作り上げたものが完成した喜びを感じる瞬間が、もう本当に嬉しいです。

ーそうだったんですね!菅野さんの輝く笑顔から、楽しさがひしひしと伝わってきます。最近ではどのような撮影がありましたか?

最近の中で特に印象に残っているのは、キリン株式会社さんとのビール撮影のお仕事です。夕暮れ時のテラスのスタイリングをしたのですが、日没のちょうど良いタイミングを狙ってみんなで一気に作り込みの仕上げをしたんです。
一番綺麗な光の差し込み方やビールの泡の加減、ロウソクの揺れ方から花の開き具合まで……みんなで一緒に一番良い瞬間を写真に切り取れたときにはもう本当に嬉しくて、幸せとやりがいを感じました!

ーそれは素敵ですね!フリーでご活躍されている菅野さんですが、その良さも教えてください。

私は会社員も経験したことがあるのですが、一人の方がのびのび仕事ができるという人はきっとフリーに向いてると思います。自分自身が緊張しいで周りを気にしてしまうタイプなので、余計なプレッシャーなく過ごせるのが良いですね。
それに加えて飽きっぽい性格なので、毎日が変化に富んでいるのも自分に向いていると思います。フリーはスケジュールも自分で全部組めますから、暇な日があればすごく忙しい日もあって。そういう波がある方が飽きずにやっていけるタイプの性格なんだと感じています。
今日は家、明日はスタジオ、毎日違う場所で毎日違うスケジュール。そういうのが大変という人もいるけれど、私はそんな変化に富んでいる毎日がすごく楽しいんです。

「静物写真のコツを教えてくださる菅野さん」

ーテーブルコーディネーターとして、どのようにお仕事を広げられたのですか。

お料理とインテリアの“中間”にフォーカスしてスタイリングしている人、そしてその活動を発信している人というのが少なく珍しかった故に、インターネットで検索して私を見つけてくださる方が多いようです。
例えば、フードコーディネーターや料理研究家の方は、お料理を作ることやお皿の上を作り上げることに長けていると思うんです。面積的に言えば、お皿周りのお料理を見せる空間60センチ画くらいでしょうか。その一方、インテリアコーディネーターさんは家全体をメートル単位で見ています。
私はちょうどその中間くらいの領域、食卓からそれに準ずる壁や床まで空間をスタイリングしているんです。
ホームパーティーやピクニック、キッズ向けのパーティーやおもてなし……そういったシーンのスタイリングは、お料理だけにフォーカスする訳でも、家全体を対象にする訳でもありません。ちょうどその真ん中という存在が、すごく需要が高かったのではないかと考えています。

「食べ物の写真を撮る際、竹串をよく活用されるとのこと」

3.コンプレックス、迷走、そして一人だからこその悩み

ー今のご職業に就かれるまでは、どのような経緯をおもちですか?

最初の仕事はシンクタンクのコンサルタントだったのですが、とにかく仕事が難しくて。まず会社員時代の私って、全然仕事できなかったんです。「仕事できないコンプレックス」でした。その後転職したり専門学校に行ってみたり、今思えば迷走していましたね。
それから結婚して3、4年専業主婦をしていましたが、はっきりした肩書きがない状態に焦った私は「早く仕事しなきゃ!」という焦燥感を持って過ごしていました。
そんな私に夫は「好きなことをしなよ」とアドバイスをくれて。そこで思い切って「仕事にならなかったとしても好きなことをしよう。」と方向転換したんです。
その結果、好きなことの中で一番手応えがあったのが、結婚後始めたお料理や食卓のコーディネートでした。SNSに投稿した自分の撮った写真への反応がとても大きかったこともありブログにまとめたことが、今の活動に繋がっていると思っています。

ー最初はSNSの投稿から始まったのですね。好きなことを仕事につなげるには、最初にどのようなことをすればいいでしょうか。

今ある好きなことを、仕事になる・ならない関係なく素直にやってみる。周りからの反応があることをやってみる。例え小さなアクションでも、何かしら良さや需要があるということの表れだから。何かを始めたいという方は、その小さな種を大事に育てて大きくしていくのが良いのではないでしょうか。

「お仕事に欠かせないパーマセロテープとカメラと、手荒れ防止のハンドクリーム。」

ー旦那様のアドバイスも素晴らしいですね。一方、新しいことに挑戦する中で、周囲の方から否定的な視点や、心配される声を投げかけられたことはありますか?

実はあまりありませんでした。その理由は、新しいことを始めるにあたり、なるべくコストをかけないようにしたからかもしれません。
例えばTABLE MANIAは開始当初、自分の食器と自分で食べる食材を使って、普段の生活に組み込めるような負担にならない程度のお金でスタートさせることを意識していました。
何事も最初からコストや時間をかけ過ぎてしまうと、周りからの期待やプレッシャーも余計にかかってしまいます。お金も時間もコンパクトに始めたのが良かったのではないでしょうか。

ー現在はフリーで活躍され、打ち合わせや撮影時以外、基本はお1人でお仕事されているかと存じます。執筆や事務等の作業をする上で、孤独を感じることや、仲間が欲しいと思うことはありますか?

確かに一人だと、細かな心理的なモヤモヤを感じることがあります。ちょっとした相談や愚痴というような、もしも会社で誰かに話したらスッキリするようなことだったとしても、いつでもコミュニケーションを取れないのが時折辛くなりますね。でもそんな時はLINEで友達に相談したりして解消できます。
その点、SHEworksに来たらいつでも同じ立場の女性と話ができるからすごく良いと思いますね!

4.21世紀を生きる全ての女性へ。今からでも、きっと遅くない

ー菅野様のロールモデルを、理由と共にお聞かせください。

似たような仕事をしている人があまりいないので、実は特定のロールモデルがいるわけではないんです。
でも、ロールモデルが一人じゃなくても良いんじゃないかな、と思いますよ。私は特定のロールモデルはないけど、いろんな人のエッセンスを取り入れるよう心がけています。

例えば仕事の心得や日々の過ごし方は「松浦弥太郎さんならどうするか?」、キャッチコピーやブログタイトルなどの企画やワード選びなら「村上萌さんならどうするか?」、インタビュー受けるなら「HKT48の指原莉乃さんならどうするか?」というように、別業界の人からヒントをもらっています。

先日は、映画美術で著名な種田陽平さんのエピソードを聞いて感銘を受けました。種田さんがこだわりぬいて作り上げた美術によって、映画の演出自体も変わったのだそうです。私はクライアントのイメージを具現化することで精一杯ですが、私のスタイリングでカメラマンさんの撮れる画が広がったり、モチベーションが上がるようなスタイリングが出来るようになりたいと思いましたね。

ー一人のロールモデルではなく、色々な方を参考にされているんですね。

「何かを始めようとしているけど、特定のロールモデルがいなくて迷っている」……そんな方は、無理に特定の誰かを見つけなくても、自分の中の引き出しを膨らませていけば、きっとうまく進んでいくと思います。私も最初からこのスタイリングの仕事をしようと決めていた訳ではありませんでしたから。

「こうなりたい!」と思い込んで努力すると、できないことに焦ったりチャンスを見逃してしまうこともあるのではないでしょうか。今できることにプラスしていく「積み上げ方式」が、私にとってはちょうど良かったです。

SHElikes表参道教室にて撮影」

ー好きなことを仕事にしたいと考えている21世紀を生きる全ての女性へ、初めの一歩を踏み出すための応援の言葉をお願いいたします。

主婦や会社員の方など「これから一歩踏み出す際に今からじゃ遅いかも」と思う人がいたらお伝えしたいです。
私は今の仕事を、新卒から数えて10年近く経ってやっと見つけました。昔は経験も自信もなかったけど、今の仕事はしっくりきてます。「菅野さんに頼んでよかったです」と言われると本当に嬉しくて、「やっててよかった」と幸せな気持ちになります。
きっとみなさん、自分が今していることの中で、本当はすごいのにそれに気がついていないことが多いと思います。自分ができることはそれが当たり前だから気づかないんですよね。なので、人に褒められたことをまず人目に晒して評価をもらうことが大事だと思います。小さい規模からでも始めていく方法はたくさんありますから。
マイペースに続けて好きなことをお金に変えたい、このレベルであれば私でできたんだから誰でもできること。今からでも、きっと遅くないと思います。
そして、SHElikesに自分の“好き”を見つけに来てもらえればと思っています。
一人でやっていて挫折したこともあったので、こんな風に周りに近い感性の人がいる空間ってすごく大事ですよ。

▷菅野さんのレッスン情報

そんな菅野さんがSHElikesのレッスンにご登壇されます!

SHElikesのサイトからご予約が可能ですので、ご興味ある方は是非サイトをご確認下さい。

レッスン名:「みんなで作ろう!アフタヌーンティーパーティー

開催日時:2017年9月10日(日) 14:00~16:00

開催場所:SHElikes 表参道教室(※表参道駅から徒歩5分の場所です)

申し込みはこちら:http://she-works.jp/likes/?utm_source=owndmedia&utm_campaign=interview&utm_content=2017090801

▷編集後記

インタビューを受ける菅野さんからは、とにかくご自身の仕事を心から楽しんでいる様子がひしひしと伝わってきました。共同作業にやりがいを見出しベストを尽くす菅野さんだからこそ、多くのファンを惹きつけて止まないのですね。
私も自分の中にある「小さな種」を、大事に育てていきたい。もしかしたらその種から、芽が出るかもしれない。そんな前向きな気持ちを、インタビューで分けてもらった気がします。

SHEshares編集部 新井

菅野有希子(すがの・ゆきこ)

テーブルコーディネーター。結婚を機に食やうつわの魅力に開眼。現在は料理やテーブルコーディネートをはじめ、ライフスタイルzrんぱんに関わるスタイリストとして活動中。大手企業の商品撮影や、人気ウェブマガジンでのコラム執筆多数。(絵になる食卓をつくるウェブマガジン「TABLE MANIA」主催。)テーブルウェアスタイリスト連合会認定 ブロンズテーブルウェアスタイリスト。

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